(ア). 被告発人多田敏明が山三青果に行き,23時頃に戻るという話

 午前中であったように記憶にあるのですが,それも11時ぐらいです。被告発人東渡好信だったと思いますが,私に聞かせるような感じで,被告発人多田敏明を山三青果に行かせた,今夜23時頃に戻る,というような話をしていました。対面の会話ではなく電話口だった気がします。

 細かいことは思い出せないですが,23時というのは荷下ろしが終わる時間だと思いました。実際に被告発人多田敏明が会社に戻ったのは23時30分ぐらいだった気がします。その間に私は,被告発人安田繁克と諸江に買い物に行っていたと思います。

 今考えると,この運行も不審に思えるのですが,28年も経っているので確認は難しいでしょう。というのも4トン車一台で,山三青果の荷物が積めたのか疑わしいのです。荷物のほとんどは白菜やレタスでかさばります。大型車でも荷物の少ないときはあったのですが,無理に詰め込めばおろすのも大変です。

 山三青果の仕事は富山,高岡,金沢,福井と決まっていました。荷物の多いときは大型車2台,それにプラス4トン車ということもありました。23時に金沢にいるということは,夕市がなかったことも意味します。

 山三青果の夕市についてはすでにご説明を記述しておりますが,夕市で2台以上ということは一度もなく,必ず4カ所積みでしたが,それでも荷物は少なめでした。

 私もその感覚で23時頃にはちょうど仕事が終わると考えていたのですが,それは福井中継を出しての前提です。今まで気がつかなかったのですが,いつも中継に使っている4トン車で,別に中継に出したとは考えにくいところです。仮にあるとすれば2トン車でしょう。

 福井の市場までは往復で考えると荷下ろしを含め3時間は掛かるのではと思います。23時30分に会社に戻るとなると,3時間前の20時30分には金沢中央卸売市場で荷下ろしを終え,出発していることになります。

 市内配達と同じぐらいの荷物と考えれば,違うような気もしますが,富山から高岡の市場に行くのも,高速道路から離れているためけっこう時間が掛かるのです。高岡の市場から金沢も同じです。

 それに4トン車だとある程度荷物を積めば,大型車ほど安定した走行はできなかったと思います。特に急がなくても21時前に,金沢中央卸売市場に着くことはなかった気がしますし,早くても20時台だった気がします。この時間は夕市で古河市を出発するような時間でもあります。

 被告発人多田敏明の乗務していた4トンウィング車は,箱の大きさの割にタイヤが小さく見え,通常の4トン保冷車に比較すると,ずいぶん安定性が悪そうでした。高速道路でスピードは出せなかったと思います。

 なお,被告発人多田敏明は市場急配センターの1階休憩室に10分から長くて30分ほどいて,家に帰ると言って帰って行ったように思います。機嫌が悪そうにはみえなかったですが,いつもと違う感じの無口さがありました。