(イ). 夜中2時頃の電話に,すぐに出た被害者安藤文さん,「殺せ,明日会社行ったら殺されてやるわい」と返す

 それは,金沢市南新保の被告発人浜口卓也のアパートから戻った後の電話でした。古い記録の書面などでは,午前1時半頃と記述をしていたようにも思います。今考えると,そんな遅い時間まで被告発人浜口卓也のアパートにいたのが不思議なのですが,30分以上の間はなかったと思います。

 今では記憶が薄れてしまっているので前後の憶えている範囲からの推測になるのですが,大型トラックのなかで寝ようとしたところ寝付けず,電話を掛けることを思いついたのだと思います。はっきりしていることは,被害者安藤文さんが出るとは思わず,両親が出て,両親と話すつもりでの電話でした。

 それまでに何度も掛けていた被害者安藤文さん宅への電話ですが,彼女の母親が彼女に電話を取り次ぐとき,彼女が電話に出るまでけっこう時間の掛かることがあり,電話口から聞こえる物音を含めてのことですが,けっこう広い家なのかと考えることがありました。

 彼女の方で,私から電話が掛かるとは思っていなかったと思うのですが,2コールぐらいで出たように思います。それもずいぶん落ち着いていました。ずいぶん思い悩んでいる様子でもありました。彼女が電話に出たとき,何か言ったのか,言った言葉も今は思い出せません。

 何か一言,彼女の言葉があったのかもしれないですが,私はすぐに,「お前,人おちょくるがもいい加減にしとけや,しまいにゃたった殺すぞ」というようなことを,叩きつけるように大きな声を言いました。

 それに対して彼女が返した言葉が,「殺せ,明日会社行ったら殺されてやるわい」になります。そのあとに私が何を言ったのか,思い出せないですが,何か一言言って,すぐに電話を切ったと思います。

 言葉選びや表現が難しいのですが,彼女は思い詰めたような腹をくくったような様子で,これはその夜,裏駐車場で私のトラックから降りた彼女の別れ際の様子によく似ていました。